わたしたちの町プロジェクト

1999.3.1
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■呼びかけ人
ACE教育とコンピュータ利用研究会北海道支部

■問い合わせ先
 武田(北星女子短期大学)、荒島(札幌市立発寒中学校)

■趣旨
 インターネット上に多くのホームページが開設されていますが、小学生が見てわかるページは多くはありません。そこで、各自治体などで作成されている副教材本をホームページとして公開し、学習資料データベースを構築しようというものです。
 コンピュータやインターネットは、通常の書籍中心の学習のある意味での限界である、効率良い検索や図書館が近くになくて調べられないなどのことを乗り越えることが可能です。更に、ある地域について学ぶと同時に、その地域の子供たちと交流したり、教員同士が連携して協働学習へと展開することが可能となる基盤の整備ができます。

■わたちたちの町のページ



分散型郷土学習教材データベースの構築と郷土学習支援システムの開発

北星学園女子短期大学
武田亘明

 インターネットなどの新しいメディアを活用して、これまで不可能だった各地域で開発した教材を共同利用することが可能となる。本稿では、(1)分散型郷土学習教材データベースの開発の小学校における指導上の有効性と(2)郷土学習支援システムの開発のシステム構成について提案する。

(キーワード)地域学習、郷土学習、郷土学習資料、教材データベース、協働学習

(学習段階的広がりと学習内容)
 2002年から小学校では、「総合的学習の時間」の設置が予定されている。ここでは、福祉、情報、国際理解、環境などのテーマを、地域ごとに検討して学ぶことが想定されている。一方、これまでも小学生の学びの対象は「地域」を中心として、同心円状に段階的に(1)郷土、(2)市町村、(3)都道府県、(4)日本全国、(5)世界へと広がっていく。

(これまでの教材メディアの限界)
これまでの郷土学習資料(副読本)は、市町村自治体教育委員会などの手により書籍として作成されてきた。この郷土学習資料は、「書籍」であることにより、印刷部数などの関係により、他の地域の学習者や指導者が入手することは困難であった。

(小学生向けホームページ数)
一方、インターネットの世界においては、無数のホームページが存在しているが、漢字の問題や言葉づかいなどの問題があり、その中で小学生が見て理解できるものは、極少数であると言わざるを得ない。

(分散型郷土学習資料データベース)
この郷土学習資料をインターネットを通じて遠隔からも参照可能な媒体に置き換えることにより、地域を越えた教材の共有を可能とし、音声や映像などを取り入れることが可能となり強力にマルチメディア化することができる。

(インターネットを活用する利点)
また、インターネットなどのメディアを活用することにより、段階的に広がっていく学習範囲に対応することも可能となる。また、その学習の過程において、電子メールやメーリングリスト、チャットルーム、テレビ会議システムなどを活用することで、指導者も学習者も共に地域を越え、地域から世界に広がる協働学習(Collaborative Education)へと発展することができる。

(教科指導における有効活用を実現するために)
1、指導者が学習指導上有効に教材研究することが可能な、その操作が平易なシステムが必要となる。
2、例えば、キーワード入力などにより、関係する町や港などを自動的に検索して、そこへのリンクページを作成するなど、指導資料の作成が容易にできるシステムの存在が、指導者への負担を減らし、本来の指導に専念できる環境を保証することができる。

(学習者の有効活用を実現するために)
例えば、地図情報との連携により、自分の町から全国、世界に広がる位置関係を視覚的理解を支援したり、農作物や海産物などのキーワードを入力することにより関係するサイトを地図上にプロットして表現し、そこをクリックすることで、関係サイトを参照できるなど、学習者である小学生が、自分の学習テーマにそった情報収集が平易にできるインターフェースのシステムが必要となる。

(システムのバージョンアップ)
学校などに導入されたハードウエアやソフトウエアのバージョンアップはなかなか行われない。そこで、各種システムのバージョンアップは、ブラウザでアクセスするクライアント側ではなく、サーバ側の処理によって常に最新のサービスを提供できることが肝要である。
 そこで、分散データベースへの検索システムなどは、検索エンジンを保有するサーバにおいて維持されることにする。検索エンジンなどの拡張・運営は、検索サーバ管理者によって行う。

(データベースの拡張、運営)
当初、北海道212市町村のデータベースは、一個所に一括作成する。将来的には、データ保有サーバも各担当者に近いサーバへ移設されることが想定される。その場合、データの更新などは、各自治体教育委員会などの担当者が行う体制を構築する。こうして分散型地域学習資料データベースが拡張されていく。
さらに全国3800市町村データが作成されることにより、巨大な分散型地域学習資料データベースの構築を目指す。
分散された後においても、検索などのシステムは、各サイトを見渡して行われるようにシステムは維持される。

(著作権の問題)
 各地域学習資料の著作権は、地域の教育委員会などが保有している。また、大都市の場合は、社会科教育研究連盟などが監修し、民間出版社が発行していることがある。
 いずれにしても、本事業の趣旨に対して理解と協力を依頼し、データの提供と今後の更新について協力体制を作る必要がある。

1. 分散型郷土学習教材データベースの構築


2. 郷土学習支援システムの開発


3. 協働学習支援システムの開発


■活動内容


○各地域自治体の学校、教育委員会で、このプロジェクトの趣旨について確認し、著作権者の了解をいただきます。

○各地域ごとに、ホームページ作成講習会・勉強会を開催します。

○各自治体などで、手分けして教材のホームページ化を行います。
 学校にあるパソコンやワープロを活用して、テキストを皆で入力します。また、スキャナーやデジタルカメラを活用して、画像を入力します。
 できれば、近年発売されているホームページ作成エディタを活用すると、簡単にページ作成を行えます。

○できあがった各ホームページを公開します。
 自治体が持っているサーバーになどに置き、公開することが望ましいでしょう。それが出来ない場合には、個人などが契約しているプロバイダのサーバーに置き公開します。

○日本中のホームページのリンクページを作成します。
 できましたら、どうぞ、武田までご連絡下さい。さっそくリンクしていきたいと思います。

○リンクページにリンクされた各ページの内容を検索できるプログラムを開発します。
 システム関係のエンジニアと協力して開発していきます。

○各学校での教育展開でこのリンクページと検索エンジンを活用します。
 例えば、漁業や石油、炭鉱、鮪、稲作などの項目で、それに関係する町を探し出すことが可能になり、しかも、その町野歴史や地理的情報も、子供たちが読んで分かる情報を入手することができます。
 活用の事例を集めて、全国の新しい取り組みの参考とすることができます。

○各ページの管理者や学校での教育担当者間で、社会科などで協働学習を行います。
 例えば、ある産業などについて学ぶにあたり、関係する地域の教員と連絡をとり、子供の抱いた疑問などについて質問しあったり、子供たちがテレビ会議を行ったりして理解を深めます。修学旅行先などの学校と連絡しあい、事前に理解を深め、現地で交流することができます。
 活用の事例を集めて、全国の新しい取り組みの参考とすることができます。